「あ、やっちまった……」
画面に光るSlackのタイムスタンプを見つめながら、僕の背中を冷や汗が一筋、スルスルと滑り落ちたあの日のことを、今でも鮮明に覚えています。当時の僕は若気の至りで、「テキストチャットなら、多少踏み込んだ表現をしてもフランクでカッコいいだろう」なんて勘違いしていたんです。
プロジェクトが炎上し、あっぷあっぷしているチームメンバーのチャットに対し、良かれと思って送った一言。
「大変な状況、お察しします。まさに心中お察しします……」
この「心中」という言葉。小説やドラマなら深みがあって良いかもしれませんが、ビジネスの、しかもスピード命のSlackチャットでこれを送った結果、相手からは「なんか上から目線で気味が悪い」「他人事だと思ってない?」と大目玉を食らうことに。中間管理職の今ならわかります。あの時の僕、完全に地雷を踏み抜いていましたね(苦笑)。
「心中」という言葉がビジネスチャットで嫌われる理由
板挟みにあえぐ今の僕なら、当時の部下や上司がなぜあそこまでブチギレたのか、痛いほどよく分かります。
まず、「心中」という言葉には、どこか「達観した第三者感」や「重苦しい響き」があるんです。サクサクと業務を進めたいSlackのタイムラインにおいて、いきなり情緒的でドロッとした「心中」なんて単語が飛び込んできたら……そりゃあ受け手も「えっ、何詩人ぶっての?」とフリーズしてしまいます。
チャットツールは、対面と違って表情やトーンが見えません。だからこそ、文字選び一つで相手との心理的な距離感が大きく狂ってしまうんですよね。もしあなたが「テキストのやり取りで、なんだかギクシャクするな…」と感じているなら、下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
「テキストだけだと冷たい?」Slackで関係がギクシャクした僕がたどり着いた、角が立たない大人のスマートな表現術
ここで、大人な言い換えの登場です…!
では、相手の苦境に共感しつつ、決してチャットの空気を重くさせないためにはどうすればいいのでしょうか? 若かりし頃の失敗を糧に、僕がたどり着いた「角が立たない大人の言い換えフレーズ」をご紹介します。
1. 「お察しします」の代わりに:『さぞご苦労されていることと存じます』
「心中」なんて文学的な表現を使う必要はありません。相手の労力をねぎらうときは、少しだけフォーマルかつシンプルなクッション言葉を置くのが鉄則です。
× NGな例:「今の状況、心中お察しします。がんばってください」
〇 大人の言い換え:「プロジェクトの立て直し、さぞご苦労されていることと存じます。何かお手伝いできることはありますか?」
これなら、相手も「自分の苦労をフラットに理解してくれているんだな」と安心できます。チャットであっても、基本のビジネス敬語をベースに据えることが、信頼を失わない最大の防御なんです。
2. 共感を伝える代わりに:『お力になれずもどかしいのですが…』
相手のピンチに直面したとき、どうしても感情移入して大げさな言葉を選びがちですが、チャットでは「軽さ」と「誠実さ」のバランスが命です。
× NGな例:「心中複雑ですね。僕も同じ気持ちです」
〇 大人の言い換え:「直接サポートに入れずもどかしいのですが、いつでも壁打ち相手になりますのでお声がけください」
「心中」と心の中で思っていたとしても、それをそのまま文字にして打ち込むのはNG。相手が求めているのは「重い同情」ではなく、「具体的な協力姿勢や、すっきりした安心感」なんですよね。
30代管理職からのメッセージ:チャットは「スマートな温度感」が命
チームと上司の板挟みになり、毎日のようにSlackの画面とにらめっこしている30代のあなた。チャットの文面一つで悩むのは、あなたが真面目に仕事に向き合っている証拠です。
昔の僕のように、「気の利いたことを言ってやろう」と背伸びをして「心中」なんてワードを繰り出すと、見事に足元をすくわれます。ビジネスチャットにおいて最も美しいのは、温度感が一定で、相手に余計な気を使わせない「スマートさ」です。
今日から「心中」という言葉はそっと胸の内にしまって、相手が思わず「ありがとう、助かるよ」と返しやすい、軽やかで温かみのある大人の言い換えを使っていきましょうね!
